浅草観光の中心 浅草寺
東京の人気観光スポットと言えば浅草浅草寺もその一つ。コロナ前の2019年までは、国内外からの観光客で参道はいつも人であふれていました。移動制限の無い夏休みは3年ぶりです。少しずつですが、ここ浅草も賑わいを取り戻しています。
真夏の青空に朱色の建物が綺麗です。写真左手前の植え込みには以前桜の木があったのですが…変化は世の常と受け入れます(T_T)
参道の老舗を2、3ご紹介します。
なぜざるをかぶった犬なのか?江戸っ子達の文字遊びです。漢字で 竹+犬=笑 です。美智子上皇后さまって本当に素敵!
やっこのうなぎ
さて、この日は土用の丑の日。鰻を食べに田原町の「やっこ」まで足を伸ばしました!
やっこは創業が江戸の寛政年間。かの勝海舟や夏目漱石も訪れた老舗です。
やっこの鰻ですが、ご飯は丁寧に薄めによそられ、タレも鰻の旨さを引き立てる、どちらかと言うとサラッとした上品な味です。この日は肝吸いと香の物が付いたものをいただきました。ラブ!です。
店内は1階がレトロな雰囲気のテーブル席で、2階はお座敷です。
「土用」と「土用の丑の日」
そもそも土用って何?いつ?
土用は立春・立夏・立秋・立冬前の18日間のことで、季節の変わり目を指します。
本来は年に4回訪れるのですが、現在は夏の土用だけが注目され年中行事の一つとして広く親しまれています。
雑節
土用とは、中国の「陰陽五行説」に由来する「雑節」の一つです。
雑節には、土用の他に節分、彼岸、八十八夜、社日、二百十日と二百二十日があります。天気予報番組でよく耳にしますよね⁈ どれも日本人の暮ら深く浸透しているため、現在でもカレンダーに記載されています。
陰陽五行説では 春夏秋冬 はそれぞれ 木、火、金、水で支配されており
土用にあたる18日間は前の季節から次の季節への変わり目で、「土」が支配すると考えられています。
土用の丑の日とは?
そして「土用の丑の日」は、この18日間に十二支を当てはめたものです。
十二支ですから、当然12の干支が繰り返されるわけです。
土用は18日間ですから、丑の日が1回だけの時と、2回巡ってくる時があることが分かります。
なんと、今年2022年の夏の土用の丑の日は2回あるんです!
7月20日 土用の入り(つまり立夏の18日前)
7月23日 1回目の丑の日
8月 4日 2回目の丑の日
8月 6日 土用の明け(立夏の前日でつまり*節分) *実は節分も年に4回ある
8月 7日 立夏
土用の丑の日にどうしてうなぎを食べるのか
「う」のつく食べ物
夏のこの時期は、暑さによる消化力の低下や食欲不振になり、その結果体力も落ちやすく夏風邪などにかかりやすくなったりします。
江戸時代は「う」のつく食べ物を食べると夏負けしないと考えられていたそうです。
疲労にはうめぼし、消化の良いうどん、暑さから身体を冷やすにはうり、と言う具合です。
平賀源内さんのお陰!
一説によると、これをヒントに夏場売れ行きが落ちて悩んでいたうなぎ屋に、『「土用の丑の日」の看板を立てよ』とアドバイスしたのは、蘭学者で発明家の平賀源内だったと言われています。
江戸時代、初かつおも、「初物を食すと75日、初かつおはその十倍長生きできる!」とこぞって食されたそうですが、江戸っ子はとにかく縁起担ぎが大好き。
と言う訳で、源内さんの作戦は大成功!以来、土用の丑の日には鰻を食べる習慣が定着していったわけです。
ちなみに、こちらは成田山新勝寺の門前町にある 「川豊」さんのうなぎです。成田方面に行く時は必ずと言ってよいほど伺ってます。門前町にはこちらのお店の他にも人気店がいくつかあり、いずれも行列ができています。是非おいでください!
土用の丑の日関連事項
「丑湯」につかる
丑の日にちゃんと湯船につかってお風呂に入ると、病気をしないと言われています。
これは特に現代社会に暮らす私達にもお勧めの夏を健康に乗り切るためのアドバイスです。
朝起きて、遅刻しちゃう~と家から電車の駅まで急ぎます。体温上昇。
クーラーのきいた電車内で汗は冷たくなります。体温急降下。
電車を降りて会社まで歩きます。体温上昇。
会社はクーラーで冷え冷え~。体温低下。
こんな感じで1日の間に体温が上がったり下がったりを繰り返しています。
それをリセットして、ちゃんといつもの理想の体温に戻してくれるのが湯船につかることです。シャワーだけでは部分的に冷えが残ったりしてリセットしきれていません。
丑の日だけでなく、夏場も時間が有る限り湯船につかることをお勧めします。その際には湯の温度と換気がポイントですので、湯あたりには気を付けて下さい。
その他
土用には鰻の他にも体に良いものが有ります。
「土用シジミ」— タウリンたっぷりで疲労回復に効果的
「土用波」— 天気も良いのに荒い波が打ち寄せるのは、遠い海上に台風などがある時に起こります。
「土用干し」— 梅雨明け後の天気の良い日に日光にあてて湿気を取る。衣服だけでなく書籍をはじめ奥から出してきて日光にさらしましょう。
埼玉県の小江戸川越もうなぎが有名です。今回伺ったのは「傳米」さんです。新勝寺門前町同様、川越にもうなぎ店が何軒も有ります。川越に行かれました際は美味しいうなぎをお試しあれ!
まとめ
私達は夏の暑い時期を乗り切るために土用の丑の日にうなぎをいただきますが、それは江戸時代からの習慣だったなんて本当に驚きでした。
一見残酷そうですが、うなぎは大切に調理されます。生きたうなぎをまな板に固定し、包丁で一気に開いて、骨と肝は別で使うので取っておく。さばいたうなぎに串を打つ。蒸し器で柔らかく蒸されたうなぎを炭火で焼く。それを甘辛のたれにくぐらせてまた焼く。ご飯に乗せる。上からたれをかける。
まさに、命をいただきます。お陰様で今年も暑い夏を乗り切れそうです。ご馳走様でした。
©OpenStreetMap contributors